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2007�38月15日更新
前田剛さん(43)=多治見市 土の力強さ表面に
人 2007年8月15日東濃版
「気持ちの良い作品を作ることができるのでは」と意気込む前田さん=多治見市内で
▲「気持ちの良い作品を作ることができるのでは」と意気込む前田さん=多治見市内で

 土の塊をつかみ、たたき、ぶつける。ぐいぐいと指を食い込ませると、土の内側から押し出されたエネルギーが表面に浮かび上がる。
 指の穴の開けられた土の塊を平面に切り取り、金彩を施す。金色に光る断面からのぞく穴の表情に、気持ち良さを感じた。十年ほど前から取り組んでいる「指の巣」シリーズ。当初は、土の塊をそのまま手づかみにして形を作っていた。面白く、楽しくもあった。

 だが、造形の可能性を広げようと、次のステップに移ろうとしたとき、大きな壁にぶつかった。五年ほど前から、手びねりの技法を組み合わせたが、手びねりで成形した土に穴を開けても弱々しく、どうしても土の塊の持つエネルギーを出せない。「今のもやもやした状況を何とかしたい。この壁を越えないといけない」

 試行錯誤を繰り返したが、現在も解決方法は見つかっていない。作品の題名は「指の巣」から「ゆびのす」へと変わった。新しい技法では、以前のような思い通りの形になっていないというもどかしさがにじみ出る。

 一九八七年に金沢美術工芸大を卒業。そのまま多治見市陶磁器意匠研究所で職員になった。創作活動を始めたのは、そこで出会った同僚、中島晴美さんらと一緒にグループ展に出品したのがきっかけ。「当時は、作品を搬入したり、ポスターを作ったりするのが楽しかった」と振り返る。

 いま、当時からの仲間でもある陶芸家、川上智子さんからグループ展の誘いを受けている。最近は、悩み続けた果てに、陶芸に対する気持ちがすっきりしてきたという。「いい舞台をもらった。自分としてもすっきりとした、気持ち良いものが作れるのでは」

 グループ展は来年二月。それまでには、長年感じてきた壁を突き破れそうな予感がしている。(小西数紀)

この記事は「中日新聞多治見支局」のご協力を得て掲載しています
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