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▲「自分の形を追求したい」と話す青山さん＝多治見市小名田町で

　通説では十世紀ごろに廃れたとされる、ひも状の粘土を積み上げてからろくろを回して器をつくる成形法「ひも輪積みろくろ水ひき」が、江戸時代まで残っていたのではないかという自説を昨年発表。昨年末から今年一月にかけて、この説をテーマにした展示会が瑞浪市の瑞浪陶磁資料館で開催された。
　桃山時代の器の雰囲気が現代作られるものと違うのはなぜか、という素朴な疑問から研究を始めた。当時の窯跡から出土した陶片を丹念に調べ、自説を裏付ける証拠を発見した。「研究はあくまでも、自分の思いを形にするためのもの。古いものをまねるのではなく、昔の技法を知った上で自分の創作につなげたい」と研究と創作との関係を説明する。

　成人前の一九六六年、父の禮三（８７）さんらと一緒に「草の頭窯」を開窯。窯の仕事のかたわら、作家としての活動も始めた。若いころはオブジェも作り、現代工芸展などに入選したこともあるが、三十代を過ぎてからはろくろでの成形にこだわる。黄瀬戸、織部、灰釉（かいゆう）などの“土もの”の器に取り組んでいる。「作家活動は普段の仕事の延長線上。自分の生きている環境の中から作品を生み出したい」。古陶の研究も、窯の仕事もすべて作品づくりにつながっていくという。

　二〇〇〇年に美濃陶芸大賞。〇四年には、古陶に着想を得た白陶の大鉢で幸兵衛賞を受賞した。作品のなり、品の良しあしは、髪の毛一本分ほどの、ほんのわずかな違いで変わるという。「くるくる回るろくろの上でどれだけのものを作ることができるのか。これまで積み上げてきたものを肥やしに、自分の形を追求したい」（小西数紀）