中京 初戦で敗退(下) 夢舞台 永遠…夏へ 親子鷹で注目 小嶋中堅手 バットに狂い『父すごい』 「真っすぐを狙っていけ」。一塁側ベンチから父である小嶋雅人監督の声が飛んだ。1点を追う九回二死一、二塁の場面、その指示ははっきりと、息子の真太郎中堅手の耳に届いた。 しかし、手を出したのは、内角高めのシンカー。力無く上がった打球は右翼手のグラブへ。初の甲子園は、5打数無安打で終わった。 センバツ出場が決まり、親子鷹(だか)としての注目度は増す一方。さらに一回戦の対戦相手も監督と一番打者の親子鷹とあって、話題は集中した。 大舞台での独特の雰囲気や「(相手の一番に)負けたくない」との思いが、バットの振りを狂わせたのか。直球と変化球のどちらにも狙いを絞りきれず、不本意な打撃が続き、出塁すらできなかった。 試合後、小嶋監督は「あいつの方が入れ込み過ぎてしまったのかな」と息子を気遣った。父が甲子園で達成したベスト8、5安打以上の目標には遠く及ばず、残ったのは悔しさばかり。「父のすごさ、自分の甘さ」を痛いほど思い知った。 しかし、親子での夢舞台はこれで終わったわけではない。「もう一度、父と一緒に甲子園で野球をしたい」。言い切った目に涙はなかった。監督とリードオフマン、チームを引っ張る親子鷹の戦いは、夏へと続いていく。(清水祐樹) 地震報道で中断 試合は?はらはら 中京高のテレビ応援 〇…瑞浪市の中京高校では、学校に残った職員五人が事務所でテレビ観戦した。 六回に中京が1点を勝ち越した直後、北陸で起きた能登半島沖地震報道のため中継がストップ。職員は球場からの電話報告とインターネットの速報で“観戦”したが、原羊介事務長は「インターネットの情報は少し遅いので、試合の状況がよく分からず、はらはらしながら見ていました」と話した。 結局、中継がストップしている最中に逆転され、チームは惜しくも敗れた。 原事務長は選手たちに「この試合での経験を生かしてほしい。夏に向けて気持ちよく頑張ってもらいたい」とエールを送っていた。(小西数紀)